活動日誌について
今話題の科学情報やイベント、技術などについての話し合いや考察を、レポート形式でまとめて配信しています!学生ならではの視点でまとめているので、理系の知識が少ない人にも、解りやすく解説出来るように日々つとめておりますので、お気軽にご意見・ご感想を頂けますと幸いです!
closeナトリウムイオン二次電池の経済性と可能性
未来の車と社会今回も前回同様、 コストや経済性の面の仮説から、ナトリウムイオン二次電池の可能性について、少し考えてみました。実際にナトリウムイオン二次電池の経済性を追求した研究開発を進めているグループも現れたそうです。(梅尾理佳)
まだ来てないんですか?
やけに静かだと思ったら
まだ来てないな。
文子ちゃんがいると
にぎやかだから・・・
ごめんなさい!
遅刻しました!
さっきツイッターで遅刻するなって
つぶやいてた本人が遅刻かよ。
ご、ごめんねっ・・・!
今日は何するんだっけ・・・
新しい資料ですよね!
もう出来てますか!?
しっかりしてくださいよ・・・
そしてもう少し落ち着いて下さい。
準備出来てるわ。
ほんとによかったですよー!
まだ、部活創設以来
ほとんど顔出さない部員もいますし・・・
こころもとなかったですし!
みんなにはいつも感謝してますよ?
まったく・・・
今日はどういう方面から
電池を見るんですか?
今日も、すこし
コストや経済性に
関わるお話ね。
現在のリチウムイオン二次電池が
この一番小さい三角形ですか?
究極のリチウムイオン二次電池というのは
先日の話同様、未来予想の仮説ですか。
ただしこの図で記されている
ナトリウムイオン二次電池は
電解質をリチウムイオン電池と同様に
有機溶媒を用いた時の仮説なの。
それ以外の場合は
どうなるんですか?
有機溶媒ではなく
水にした場合には
もっと、経済性の優れた
二次電池を作れる
可能性があるの。
経済性の優れた二次電池を
つくるという観点で
ナトリウムイオン二次電池の
研究開発を進めているグループも
現れてるの。
それにしても
そういう情報は
どっから仕入れてくるんだ?
私は文献で
知ったのだけれど
この情報は
2013年の10月に行われた
第54回電池討論会で
九州大学先導物質化学研究所が
発表したものね。
初めて知りました・・・
起電力が低くなっちゃうんじゃ
ないですか?
現行のリチウムイオン二次電池は
起電力が3.4Vあるのだけれど
ナトリウムイオン二次電池の
電解質が水の場合
起電力は1.2Vと
リチウムイオン二次電池の
半分以下になってしまうの。
電解質に有機溶媒を使っているから
起電力が高くなるとかいう話・・・
そんなお話も
したわね。
リチウムイオン二次電池と
同じような使用目的を
目指すのだとしたら
無理ですね。
今の私が言った情報は
アカデミアの研究レポートに
乗っているのだけれど
本来、リチウムイオン二次電池の方は
理論的には4V程度の起電力が
期待されているの。
蓄電池の中では
ダントツなんじゃないか?
現行の技術では
電池として
組み立てたときに
3.4V程度に
落ちてしまうの。
ナトリウムイオン二次電池では
開発されて間もない現段階で既に
電池に組み立てて
3.2Vの起電力に成功している
という情報もあるの。
既に近いですね。
先日のざっくり年表でも書いてあったけど
ナトリウムイオン二次電池は
最近開発された電池なんだろ?
かなり前から研究開発されてきたんだったよな。
歴史の浅いナトリウムイオン二次電池が
この状況っていうのは
少し将来的に期待出来るんじゃないか?
トントンと・・・
リチウムイオン二次電池は
ブリヂストンで、1983年に
「ポリマーリチウム二次電池」
として市場に出されてから
既に30年の、技術開発の
歴史があるの。
それに比べて
ナトリウム二次電池は
まだ生まれたばかりなのね。
逆に言えば、技術開発の歴史が浅い
ナトリウムイオン二次電池を
今後も研究が盛んに進められていく
リチウムイオン二次電池の
対抗馬として即戦力にするには
分が悪い気もしますね。
文子が置いてけぼりになってる・・・
ついていけてますとも!
た、たぶん・・・・
ナトリウムイオン二次電池押し
みたいになってるので
さらに言わせてもらいますけど。
たしかにクラーク数から考えると
ナトリウムの価格はリチウムの価格の
半分以下になりそうなのは理解出来ますよ。
生まれたばかりの電池で経済性を論じても
正直わかりにくいですね。
反ナトリウムイオン二次電池派なのか・・・
ただ、単純に
もっと明確なデータで
分析して納得しないと
どうも信頼出来ないというか。
私は当然のことを
言ったまでですよ!!
じゃあ実用化されている電池で
議論した結果は無いんですか?
確か、どこかに
自動車のアイドリングストップ機構を
研究したレポートがあったと思うの。
また次回までにまとめておくわね。
お願いします!
智恵にたよりっきりだよな。
何するのかわすれるし。
待機してますね!!
新しい議題持ってくるとか
なんか無いのかよ・・・
1) 工藤徹一、日比野光宏、本間格、「リチウムイオン電池の科学」、内田老鶴圃(2010)
2) J.S.Thorne,J.R.Dahn,M.N.Obrovac,and R.A.Dunlap;J. Power Sources,216,139(2012)
3) Yangang Wang,Bo Li,Chengli Zhang,Hong Tao,Shifei Kang,Sheng Jiang, and Xi Li, J. Power Sources,219,89(2012)
4) S.Komaba,T.Ishikawa,N.Yabuuchi,W.Murata,A.Ito,and Y.Ohsawa,Applied Materials & Interfaces,3,4165(2011)
5) L.T.Lam,and R.Louey,J.Power Sources 158,1140(2006)
6) G.H.Newman and L.P.Klemann,J.Electrochem.Soc.,127,2097(1980)
7) 岡田重人、原聡、土井貴之、山本準一、硫黄と工業,62(9),131(2009)
8) S.Okada,H.Arai,and J.Yamaki,Denki Kagaku(Electrochemistry),65,802(1997)
9) A.Nadiri,C.Delmas,R.Salmon,and P.Hagenmuller,Rev.Chim.Miner.,21,537(1984)
10) P.G.Bruce and G.Miln,J.Solid State Chem.,89,162(1990)
11) Y.Uebo,T.Kiyabu,S.Okada,and J.Yamaki,The Reports of Institute of Advanced Material Study,16,1(2002)
12) C.Delmas,F.Cherkaoui,A.Nadiri,and P.Hagenmuller,Mater.Res.Bull.,22,631(1987)
13) T.Shiratsuchi,S.Okada,J.Yamaki,and T.NishidaJ.Power Sources,159,268(2006)
14) I.Gocheva,M.Nishijima,T.Doi,S.Okuda, and J.Yamaki J.Power Sources,187,247(2009)
15) T.B.Kim,J.W.Choi,H.S.Ryu,G.B.Cho,K.W.Kim,J.H.Ahn,K.K.Cho,and H.J.Ahn,J.Power Sources,174,1275(2007)
16) 第53回電池討論会(2012)福岡
【関連対話】
未来の車と社会 001:「車」と「みらい技術」
– – – – – – – – – –
未来の車と社会 006:コストからみた各種二次電池の位置づけ
未来の車と社会 007:ナトリウムイオン二次電池の経済性と可能性(現在の記事です)
未来の車と社会 008:具体的な蓄電池の値段表で比較してみました
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